メルセデス・ベンツ・Cクラス

メルセデス・ベンツ・CクラスMercedes-Benz C-Class )は、ドイツ自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ・グループメルセデス・ベンツブランドで展開している乗用車である。現在はセダンステーションワゴンおよびオールテレインが用意されている。

概要

1993年に190シリーズ(W201)の後継車としてW202が登場し、Cシリーズという呼称が始まった。

当初は4ドアセダンのみであったが、1996年にステーションワゴン、2001年に2代目(W203)の派生モデルである3ドアハッチバックのスポーツクーペSportCoupé )が登場した。2008年に同じプラットフォームのまま約1,100箇所の変更を施し、フロントマスクを3代目(W204)と共通の意匠としたものを「CLCクラス」と改名して生産・販売していたが、2011年のフェイスリフトでCクラス・クーペが登場したことにより、3年弱で消滅した。2016年には歴代初となるカブリオレが登場したが、5代目(W206)へのモデルチェンジに伴い、クーペとともにCLEへ統合された。2021年、歴代初のオールテレインが登場した[1]

モデル別販売台数ではEクラスSクラスに次ぐ3位。

メルセデス・ベンツの乗用車共通の特徴としてステアリング操作時は左右の前輪上面が旋回方向へ傾くため、よりボディの小さいCセグメントBセグメントに匹敵する最小回転半径を実現。このCクラスでは4.9-5.1mとなっている。

生産はドイツジンデルフィンゲンブレーメン工場ほかインドメキシコエジプトインドネシアブラジルタイマレーシアでも行われ、日本向けを含む多くの右ハンドル車や4気筒エンジンモデルは南アフリカイースト・ロンドンのダイムラー・クライスラー南アフリカ(DCSA)工場で生産されていたが、3代目のW204から一部が変更されている。一部車種を除き、日本国内で正規輸入・販売されている新車には、「メルセデス・ケア」と呼ばれる3年間の購入保証システムが付属する。

メルセデス・ベンツ向けチューニングメーカーとしてAMGブラバス、ロリンザー、カールソンなどがある。

初代(1993年-2000年)W202/S202

初代 C280(米国仕様)

デザイナーはオリビエ・ブーレイで、外観では上下に伸びた「おむすび形」のテールライトが特徴。190シリーズに比べて全長で70mm、ホイールベースで20mm拡大したことで後席の居住性が改善されている。欧州では「クラシック」「エレガンス」「エスプリ」「スポーツ」と4種のトリム(インテリアの内張り)が用意され、各グレードで任意に選択することができた。

日本国内にはセダンとステーションワゴンのほか、AMGがチューニングしたセダンとステーションワゴンも導入された。

エンジンは、ガソリンが直列4気筒と6気筒、V型6気筒と8気筒、ディーゼルは直列4気筒と5気筒。最高出力は2.0LとなるC200の100kW(136PS)に始まり、5.5LのAMG C55では255kW(347PS)に達している。

詳細は「メルセデス・ベンツ・W202」を参照

2代目(2000年-2007年)W203/S203/CL203

2代目 C240 前期型 (米国仕様)

2000年にフルモデルチェンジ、日本では同年9月より発売が開始された。開発コンセプトであるダイナミズムとエレガンスを表現したと謳われ、コンパクトなスポーティを打ち出している。セダンとステーションワゴンのほか、BMW・3シリーズコンパクトに対抗するモデルとして3ドアハッチバックのスポーツクーペもラインナップする。外観では、ひょうたん形のヘッドライトが特徴。

日本仕様のトランスミッションは、Dレンジのセレクトレバーを左右に動かすだけでチェンジ可能なティップシフト付き5速ATを搭載する。最小回転半径5.0mを実現するステアリングはラック・アンド・ピニオン式を採用。

一方、メルセデス・ベンツの内装を特徴付けていた実用性の高さ(誰が乗っても戸惑わない確実さ)は大幅に下がり、構成部品も一部簡略化され、革の材質をはじめとする内装の質感も同様にコストダウンされた。なお、マイナーチェンジ後の後期型では品質改善がなされている。

従来、メルセデス・ベンツのモデル名は数字の下2桁が排気量を示していたが、このW203型から法則が途絶えている。

詳細は「メルセデス・ベンツ・W203」を参照

3代目(2007年-2014年)W204/S204/C204

3代目 W204

2007年1月18日に正式発表され、欧州では同年3月31日に発売された。南アフリカ工場では従来のイギリスオセアニア向けモデルに加え、アメリカ向けモデルの製造が開始され、代わって日本向けモデルはドイツでの製造となった。

外観ではヘッドライトを始めとしてW221型Sクラスと非常に類似したデザインとなった。また、クラシックとエレガンスは従来通り、ボンネット上にメルセデス・ベンツのエンブレムである“スリーポインテッド・スター”のオーナメントが付くのに対して、アバンギャルドはグリル中央に大型のスリーポインテッド・スターを配した、いわゆる「クーペ・グリル」が採用され、ボンネット上にオーナメントは付かない。

C220 アバンギャルド

これ以降、本来“クーペ専用”と説明されていた「クーペ・グリル」はクーペまたはアバンギャルドを表すアイコンとなっている。

詳細は「メルセデス・ベンツ・W204」を参照

4代目(2014年-2021年)W205/S205/C205/A205

4代目 W205(前期型)

日本では、2014年7月11日にセダンが発表され、ステーションワゴンクーペカブリオレが順次導入された。 テーマは、「アジリティ」と「インテリジェンス」。キャッチコピーは、前期モデルが「メルセデスの本気」、後期モデルが「メルセデスの自信」[2][3]

パワートレインは、従来から設定されている「BlueDIRECTターボエンジン」を積んだガソリンエンジンモデルに加え、新たに 「BlueTECエンジン」を積んだディーゼルエンジンモデルや上記のガソリンエンジンに高出力モーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドモデルも用意されている。

内外装とも、先代よりもさらに質感を高め、大幅なバリューアップを実現している。日本仕様における外装のデザインは先代モデルに引き続き、「スタンダード」「アバンギャルド」「AMGライン」「Mercedes-AMG」の4種類。当初、「エクスクルーシブ」は日本仕様に設定がなかったが、のちに特別仕様車として台数限定で用意された(セダンのみ)[4]

内装のデザインは、上のクラスに位置するSクラス(W222)やEクラス(W213)と共通点を感じる部分が多い。全体の質感は、セグメントを卓越した完成度となったほか、クラス初となるエアサスペンション『AIRMATICアジリティパッケージ』を設定した。 ボディは、先代よりもアルミニウムを多用し、約50%使用した。そして、エンジンを改良したことにより、燃費性能を最大で30%向上させた。

メルセデス・ベンツが得意とする、安全運転支援システムもSクラス(W222)譲りのものにバージョンアップ。2つのステレオカメラと6つのレーダーで周囲の状況を把握し、運転を支援する。『アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し検知機能付)[旧:PRE-SAFE®︎ブレーキ(歩行者検知機能付)]』やさらに進化した『ディスタンスパイロット・ディストロニック&ステアリングパイロット[旧:ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)]』などを搭載した「レーダーセーフティパッケージ」を全グレードに設定した。

ステーションワゴンでは、グレードを選びやすく、また納車までの待ち時間の短縮を目的として、オプションの設定を少なくしているため、セダンではオプション設定されている装備が標準装備として設定されていたり、グレード化されているものがあり、セダンとステーションワゴンでは、同じグレードであっても装備に違いがあり、価格差が大きいことがある(前期モデルのみ)。

後期モデルでは、車体のおよそ半分に相当する6,500点もの部品を刷新し、メーカー自らが「Cクラス史上もっとも大規模なフェイスリフト」と主張しているほどである。

詳細は「メルセデス・ベンツ・W205」を参照

5代目(2021年- )W206/S206

5代目 W206

2021年2月23日、欧州でオンラインによるワールドプレミアを実施。同年6月29日、日本市場でセダンとステーションワゴンが同時発表されたのち、翌年にはオールテレインも導入された[5]。キャッチコピーは、「すべての想像を超えていく」。

ホイールベースは従来より25mm、後席レッグルームは21mm伸長され、 後席ヘッドルームも13mm拡張されたため、後席の居住性がさらに向上している。

搭載されるエンジンは、全て4気筒のモジュラーエンジンに統一され、6気筒以上はAMGモデルも含めて廃止されたほか、ボンネットマスコットを備える「エクスクルーシブ」についても中国市場のロングボディを除き廃止された[6]

日本で販売されるDセグメント乗用車としては初のAR (Augmented Reality = 拡張現実) ナビゲーションを装備したほか、Sクラス(W223)譲りの最新技術を多数採用している。先代に設定されていたエアサスペンションは廃止された一方、新たに後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」が設定され、小回り性をさらに高めた。

日本仕様は、マイルドハイブリッドシステムの一種であるISGやプラグインハイブリッドの導入により全車電動化され、C 200/350 eには204PS・300Nmの高出力・高トルクを発生する1.5/2.0L直4ターボエンジンのM254/254M20型が、C 220 dには200PS・440Nmを発生する2.0L直4ディーゼルターボエンジンであるOM654M型が、Mercedes-AMG C 43/63 S EにはメルセデスAMG製の2.0L直4ターボエンジンであるM139型がそれぞれ搭載される。

詳細は「メルセデス・ベンツ・W206」を参照

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “C 220 d オールテレインを発売”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月3日閲覧。
  2. ^ “メルセデス・ベンツCクラスをフルモデルチェンジ”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月3日閲覧。
  3. ^ “新型 Cクラスを発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月3日閲覧。
  4. ^ “「C 200 Exclusive Line Limited」を発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月3日閲覧。
  5. ^ “メルセデス・ベンツ、新型「Cクラス」発表 セダンは654万円から ステーションワゴンは680万円から”. Car Watch (2021年6月29日). 2021年7月1日閲覧。
  6. ^ “新型メルセデス・ベンツ Cクラスは4気筒のみの展開。直6やV8、さらにPHEVモデルはどうなるのか”. Webモーターマガジン. 2024年7月3日閲覧。

外部リンク

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メルセデス・ベンツ ロードカー タイムライン 1980年代
タイプ モデル 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4
コンパクト A W168 W169 W176 W177
B W245 W246 W247
C CL203
セダン A V177
C W201 W202 W203 W204 W205 W206
E W123 W124 W210 W211 W212 W213
EQE V295
S W126 W140 W220 W221 W222 W223
EQS V297
リムジン 600 W100
マイバッハ・GLS X167
マイバッハ | マイバッハ・S W240 X222 X223
ステーションワゴン C S202 S203 S204 S205 S206
E S123 S124 S210 S211 S212 S213
2ドアクーペ C C204 C205
CLK | E C123 C124 C208 C209 C207 C238
CL | S C107 C126 C140 C215 C216 C217
CLE C236
4ドアクーペ CLA C117 C118
CLS C219 C218 C257
GT X290
シューティングブレーク CLA X117 X118
CLS X218
カブリオレ C A205
CLK | E A124 A208 A209 A207 A238
S R217
CLE A236
ロードスター SLK | SLC R170 R171 R172
SL R107 R129 R230 R231 R232
スーパーカー CLK-GTR W297
SLRマクラーレン C199
SLS AMG C197
GT C190
GTロードスター R190
クロスカントリー4WD G W460 W461
W463 W463
SUV GLA X156 H247
EQA H243
GLB X247
EQB X243
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M | GLE W163 W164 W166 W167
GL | GLS X164 X166 X167
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GLEクーペ C292 C167
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