交響曲第52番 (ハイドン)

ポータル クラシック音楽
ポータル クラシック音楽

交響曲第52番 ハ短調 Hob. I:52 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲

概要

作曲年については諸説あり、ランドン1771年から1773年頃の作品の作品としており[1]ジェームズ・ウェブスター(英語版)は1771年頃の作品である[2]としている。

ハイドンは生涯に短調の交響曲を10曲書いたが、そのうち半数の5曲が1768年から1772年までの5年間に集中している。本作もその中の1曲で、いわゆるハイドンの「シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)期」の短調交響曲の中でも特に燃えるような感情を爆発させている[1]

編成

オーボエ2、ファゴット, ホルン2、弦五部

ファゴットの独立したパートのある楽譜と、そうでないものがある。おそらく独立したファゴット・パートは後から加えたものだろうという[2]

また、本作は特にホルンの使い方が風変わりで、両端の楽章(第1・第4楽章)では高音のC管のホルンとE♭管のホルンを1本ずつ使用する[3]のに対し、中間楽章では低音のC管のホルンを2本使用する。とくに高音のC管のホルンの鋭い音はこの曲の激しさの表現に貢献している[4]

曲の構成

全4楽章、演奏時間は約23分。

  • 第1楽章 アレグロ・アッサイ・コン・ブリオ
    ハ短調、4分の4拍子ソナタ形式
    第1主題はユニゾンで開始する。対照的な変ホ長調の第2主題は付点つきリズムを持って第1ヴァイオリンに現れる。展開部ではヘ短調で偽の再現部が現れる。
  • 第2楽章 アンダンテ
    ハ長調、8分の3拍子、ソナタ形式。
    弱音器をつけたヴァイオリンによって主題が演奏され、急な や半音階的進行が随所に見られる。ホルンは再現部ではじめて登場する。
  • 第3楽章 メヌエット:アレグレット - トリオ
    ハ短調 - ハ長調、4分の3拍子。
    短調のメヌエット本体に対し、トリオでは同じ主題がハ長調で演奏される。
  • 第4楽章 フィナーレ:プレスト
    ハ短調、2分の2拍子、ソナタ形式
    第1・第2ヴァイオリンだけで静かにはじまり、長調に転じた後に管楽器が加わって に達する。

脚注

  1. ^ a b 音楽之友社ミニスコアのランドンによる解説
  2. ^ a b デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第7巻のウェブスターによる解説、1996年
  3. ^ 当時はナチュラルホルンしかなかったため、短調の交響曲では異なる管長のホルンを使うことで対応した
  4. ^ デッカ・レコードのドラティによるハイドン交響曲全集、ランドンによる解説

参考文献

  • 『ハイドン 交響曲集V(50-57番) OGT 1593』音楽之友社、1982年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1963年のもの)

外部リンク

A - B - 第1番 - 第2番 - 第3番 - 第4番 - 第5番 - 第6番『朝』 - 第7番『昼』 - 第8番『夕』 - 第9番 - 第10番 - 第11番 - 第12番 - 第13番 - 第14番 - 第15番 - 第16番 - 第17番 - 第18番 - 第19番- 第20番 - 第21番 - 第22番『哲学者』 - 第23番 - 第24番 - 第25番 - 第26番『ラメンタチオーネ』 - 第27番 - 第28番 - 第29番 - 第30番『アレルヤ』 - 第31番『ホルン信号』 - 第32番 - 第33番 - 第34番 - 第35番 - 第36番 - 第37番 - 第38番『こだま』 - 第39番 - 第40番 - 第41番 - 第42番 - 第43番『マーキュリー』 - 第44番『悲しみ』 - 第45番『告別』 - 第46番 - 第47番『パリンドローム』 - 第48番『マリア・テレジア』 - 第49番『受難』 - 第50番 - 第51番 - 第52番 - 第53番『帝国』 - 第54番 - 第55番『校長先生』 - 第56番- 第57番 - 第58番 - 第59番『火事』 - 第60番『うかつ者』 - 第61番 - 第62番 - 第63番『ラ・ロクスラーヌ』 - 第64番『時の移ろい』 - 第65番 - 第66番 - 第67番 - 第68番 - 第69番『ラウドン将軍』 - 第70番 - 第71番 - 第72番 - 第73番『狩』 - 第74番 - 第75番

イギリス交響曲

第76番 - 第77番 - 第78番

第79番 - 第80番 - 第81番

パリ交響曲

第82番『熊』 - 第83番『めんどり』 - 第84番 - 第85番『王妃』 - 第86番 - 第87番

トスト交響曲

第88番『V字』 - 第89番

ドーニ交響曲

第90番 - 第91番 - 第92番『オックスフォード』

ロンドン交響曲

第93番 - 第94番『驚愕』 - 第95番 - 第96番『奇蹟』 - 第97番 - 第98番 - 第99番 - 第100番『軍隊』 - 第101番『時計』 - 第102番 - 第103番『太鼓連打』 - 第104番『ロンドン』

典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • VIAF
国立図書館
  • フランス
  • BnF data
  • イスラエル
  • アメリカ
その他
  • MusicBrainz作品