半局所環

曖昧さ回避 ジャコブソン根基に含まれるイデアルによって定義された位相を持ったネーター環という古い意味については「ザリスキ環」をご覧ください。

数学において、半局所環 (semi-local ring) は R/J(R) が半単純環であるような環 R である。ここで J(R) は環 Rジャコブソン根基である[1][2]

この条件は R極大右(左)イデアルが有限個であれば満たされる[3]。さらに環 R可換のときには逆も成り立つため[3]、可換環に対して半局所環はしばしば「極大イデアルが有限個である環」と定義される。

いくつかの文献では一般の可換半局所環を擬半局所環 (quasi-semi-local ring) と呼び、極大イデアルが有限個のネーター環を半局所環と呼んでいる。

したがって半局所環は、極大(右/左/両側)イデアルをただひとつだけもつ局所環よりも一般的である。

  • 任意の右あるいは左アルティン環、任意の serial ring(英語版), 任意の半完全環は半局所環である。
  • 剰余環 Z / m Z {\displaystyle \mathbb {Z} /m\mathbb {Z} } は半局所環である。とくに、 m {\displaystyle m} が素冪であれば、 Z / m Z {\displaystyle \mathbb {Z} /m\mathbb {Z} } は局所環である。
  • 有限個の体の直和 i = 1 n F i {\displaystyle \bigoplus _{i=1}^{n}{F_{i}}} は半局所環である。
  • 単位元を持つ可換環の場合には、この例は次のような意味でプロトタイプである。すなわち、中国の剰余定理によって、極大イデアルが m1, ..., mn である単位的可換半局所環 R に対し、
R / i = 1 n m i i = 1 n R / m i {\displaystyle R/\bigcap _{i=1}^{n}m_{i}\cong \bigoplus _{i=1}^{n}R/m_{i}\,}
である。(写像は自然な射影)。右辺は体の直和である。ここで ∩i mi = J(R) であることに注意すると、R/J(R) は実際半局所環であることがわかる。

脚注

  1. ^ Lam 2001, Chapter 7 – §20.
  2. ^ Mikhalev & Pilz 2002, C Rings, Modules, Algebras – C.7.
  3. ^ a b Lam 2001, Proposition (20.2).

参考文献

  • Lam, T. Y. (2001), A first course in noncommutative rings, Graduate Texts in Mathematics, 131 (2 ed.), New York: Springer-Verlag, pp. xx+385, ISBN 0-387-95183-0, MR1838439, https://books.google.co.jp/books?id=f15FyZuZ3-4C 
  • Mikhalev, Alexander V.; Pilz, Günter F., eds. (2002), The concise handbook of algebra, Dordrecht: Kluwer Academic Publishers, pp. xvi+618, ISBN 0-7923-7072-4, MR1966155, https://books.google.co.jp/books?id=i2g2cstPDfEC 
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