寒川裕人

寒川 裕人(かんがわ ゆうじん、1989年[1] 〈平成元年〉- )は、日本の現代美術家アメリカ出身。抽象的な絵画や大規模なインスタレーションで知られ、東京都現代美術館での個展「新しい海 After the Rainbow」(2021–22)、金沢21世紀美術館「de-sport:」(2020)、青森県立美術館「青森EARTH2019:いのち耕す場所」(2019)、資生堂ギャラリー個展「1/2 century later.」(2017)、サーペンタイン・ギャラリー (ロンドン)「89+」(2014)への参加など。[2]2021年から2022年にかけて行われた東京都現代美術館での個展は当時32歳と同館で最年少であり、また平成に生まれた作家としても初であった[3]。東京都現代美術館では過去に草間彌生オノ・ヨーコ、名和晃平などの日本人が個展を行ってきた。光文社新書 『アート×テクノロジーの時代 社会を変革するクリエイティブ・ビジネス』(2017年、宮津大輔)では、チームラボらと世界が注目する四社として書かれている[4]

来歴

1989年(平成1年)、父親の仕事の関係でアメリカで生まれた。遠山正道と鈴木芳雄の連載「遠山正道×鈴木芳雄 連載「今日もアートの話をしよう」vol.19 「EUGENE STUDIO(ユージーン・スタジオ)」訪問―現代美術作家・寒川裕人氏と いま最も注目を集める現代美術作家・寒川裕人氏が語る制作の原点」のインタビューでは村上春樹遠藤周作がゆかりのある兵庫県西宮市夙川で育ち、高校生の頃は美術家たちの本を読み現代美術への道を決めたと語っている。[5]

また大学1年生のときに闘病していた母を亡くした体験を通じて、今の作品にスタイルになり、それまではわかりにくいと理解できなかったコンセプチュアル・アートの作品に対して、決めつけをしていた高校生の自らを「物事の多様さを理解できていない、自らの変化を受け入れられない、今思うと勿体ない状態」だったとしている。[5]

2021年から2022年にかけて行われた東京都現代美術館による個展は同館で最年少での個展であり、さらに記録的な列ができるなど社会的に注目を集めた。[6][7]そしてこの個展が国際的に評価され、寒川裕人/ユージーン・スタジオの常設美術館がバリに2026年に誕生することが発表された。[8]

鈴木は寒川について「とてつもなく繊細なようでいて、大胆だったりもするし、そして博識。インプットとアウトプットの能力がとても高い人だなと改めて思いました。」と同インタビュー内で語っている。[5]

そのほか、アメリカで発表された短編映画はブルックリン国際映画祭、ロードアイランド国際映画祭、ヒューストン国際映画祭ほか複数の映画祭でオフィシャルセレクションの選出や受賞がある。[9]

主な展覧会

  • 「89plus Project」Serpentine Gallery 2013年 (ロンドン・イギリス)
  • 「Agriculture Revolution3.0」鶴岡アートフォーラム 2016年(山形) [10]
  • 「THE EUGENE Studio 1/2 Century later .」資生堂ギャラリー個展 2017年(東京) [11]
  • 「資生堂ギャラリー100周年記念展 それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio」資生堂ギャラリー 2018年[12]
  • 「青森EARTH2019:いのち耕す場所-農業がひらくアートの未来」青森県立美術館 2019年[13]
  • 「de-sport: 芸術によるスポーツの解体と再構築」金沢21世紀美術館 2020年[14]
  • 「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」東京都現代美術館 2021年[15]

脚注

  1. ^ 【前編】市原えつこが行く、アート&テクノロジーの実験場「Media Ambition Tokyo」,リクルート,2017年5月31日閲覧。
  2. ^ “https://the-eugene-studio.com/ja/studio/”. 2024年7月14日閲覧。
  3. ^ “ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow | 展覧会”. 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO. 2021年10月27日閲覧。
  4. ^ アート×テクノロジーの時代 社会を変革するクリエイティブ・ビジネス - 光文社新書、2017年
  5. ^ a b c “遠山正道×鈴木芳雄 連載「今日もアートの話をしよう」vol.19 「EUGENE STUDIO(ユージーン・スタジオ)」訪問―現代美術作家・寒川裕人氏と | 人生を豊かにする東京ウェブマガジン Curiosity”. R100 TOKYO. 2023年3月27日閲覧。
  6. ^ “有識者が選ぶ2022年の展覧会ベスト3:山下有佳子(Art Collaboration Kyoto プログラムディレクター)”. 美術手帖. 2023年3月27日閲覧。
  7. ^ Ltd, Shiseido Co. “EUGENE STUDIOがアートを媒介に考える、 これからの世界と社会。【前編】 | Column”. 花椿 HANATSUBAKI | 資生堂. 2023年3月27日閲覧。
  8. ^ “2026年、バリ島にユージーン・スタジオの美術館が開館。設計はインドネシアを代表する建築家、アンドラ・マティン。”. Casa BRUTUS. 2024年7月13日閲覧。
  9. ^ “https://the-eugene-studio.com/ja/studio/”. 2024年7月14日閲覧。
  10. ^ 「Agriculture Revolution3.0」、公式サイト、2020年3月25日閲覧。
  11. ^ 「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」、資生堂ギャラリー公式サイト、2020年3月9日閲覧。
  12. ^ 資生堂ギャラリー公式サイト、2020年3月9日閲覧。
  13. ^ 青森県立美術館「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」公式サイト、2020年3月9日閲覧。
  14. ^ “金沢21世紀美術館 | de-sport : 芸術によるスポーツの解体と再構築”. 金沢21世紀美術館. 2021年10月27日閲覧。
  15. ^ “ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow | 展覧会”. 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO. 2021年10月27日閲覧。

外部リンク

  • ユージーン・スタジオ Eugene STUDIO