200メートルハードル(英語: 200 metres hurdles)は、陸上競技のハードル競走の一種で、10台のハードルを跳び越えながら200メートル(または220ヤード)を走るタイムを競う競技。1900年パリオリンピックと1904年セントルイスオリンピックの実施種目。現在はオリンピック・世界選手権において実施されることのない種目で、世界記録・日本記録の公認対象外種目[注 1]。
概要
- ハードルの数は10台、ハードルの高さは76.2cm(2ft半)、スタートから最初のハードルまでの距離、ハードル間の距離はともに18.29m(20y)、最後のハードルからゴールまでの距離は17.10m(20y)で行われる[2]。
- 1900年頃にアメリカ、フランス、スウェーデンなどで盛んに行われていたため、1900年パリオリンピックと1904年セントルイスオリンピックで実施されたが、その後は400mハードルの人気が出たので200mハードルは実施されなくなった[2]。昔は日本選手権、全米選手権、全英選手権など、各国のシニアの国内選手権で200mハードル(または220yハードル)が実施されていた。現在は若い世代を対象にした国内選手権で実施している国もあるが、その場合はハードルの数を減らすなどして行われている。
- 日本では日本選手権、国民体育大会などで実施されていた[注 2]。戦前の全国中等学校競技会(旧制中学・高等学校の大会)の人気種目でもあり、戦後のインターハイでも実施種目だったが[注 3]、1971年からは400mハードルが実施されるようになり200mハードルは姿を消した[2][3]。現在は全国大会で行われることはないが、日本記録挑戦会兼住友電工杯などで実施されている。
- アメリカでは全米選手権と全米学生選手権で200mハードル(または220yハードル)が実施されていた[注 4]。現在はハードルの数を5台にした200mハードルが男女13-14歳のクラスで盛んに行われており[注 5]、このクラスの記録だけはアメリカ記録として公認される[6]。
- イギリスでは1864年の第1回二大学対抗戦(オックスフォード対ケンブリッジ大学)で実施されたが、なぜかそれ以降は1911年の全英選手権まで実施されなかった[2]。現在はマンチェスターの市街地で行われるストリート陸上「グレート・シティ・ゲームズ」内で直走路による200mハードルが2010年から行われており、この大会から直走路の世界最高記録が誕生している。
- 女子の200mハードルは、1966年の国際陸上競技連盟総会において100mハードルとともに女子の種目に加わることが決まった。ハードルの数は10台、高さ76.0cm、スタートから最初のハードルまでの距離は16.0m、ハードル間の距離は19.0m、最後のハードルからゴールまでの距離は13.0mとされた[7]。しかし、100mハードルは1972年ミュンヘンオリンピックから80mハードルに代わって実施されるようになり、現在もオリンピックや世界選手権の実施種目となっているが、200mハードルは実施されることなく姿を消した。
- マスターズ陸上の一部のクラスで、ハードルの高さを68.6cm、数を5台、ハードル間の距離を35mにして実施されている[8]。世界マスターズ選手権の実施種目でもあり、2015年大会は男子がM80とM85、女子がW70とW75とW80のクラスで実施された[9]。
- 十四種競技と二十種競技の実施種目である。
主な最高記録(電気計時)
タイム欄の( )内の数字は風速(m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
曲走路
直走路
世界最高記録と日本最高記録の変遷(電気計時)
タイム欄の( )内の数字は風速(m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
世界最高記録(曲走路)
世界最高記録(直走路)
日本最高記録(曲走路)
脚注
注釈
- ^ 日本記録は1978年以降[1]。
- ^ 日本選手権は1916年の第4回大会から1928年の15回大会まで、国民体育大会は1947年の第2回大会だけ、それぞれ男子のみ実施された[3]。
- ^ 1948年の第1回大会、1954年の第7回大会から1970年の第23回大会まで実施された。
- ^ 全米選手権では1887年から1962年まで220yハードルと200mハードルが[4]、全米学生選手権では1921年から1959年まで220yハードルが、ともに男子のみ実施された[5]。
- ^ ジュニアオリンピックとユース選手権の実施種目になっているが、両大会ともに200mハードルが実施されるのは13-14歳のクラスだけである。
出典
- ^ a b 「日本記録の変遷」『陸上競技マガジン』第63巻第7号、ベースボール・マガジン社、2013年4月号別冊付録、98頁。
- ^ a b c d 岡尾惠市「ハードル競走の歴史」『陸上競技のルーツをさぐる』、文理閣、1996年9月30日発行、98-107頁。
- ^ a b 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会「競技会記録」『日本陸上競技連盟七十年史』、ベースボール・マガジン社、1995年9月4日発行、869-1123頁。
- ^ “全米選手権200mハードル歴代優勝者”. 全米陸上競技連盟. 2015年10月24日閲覧。
- ^ All-Time Championship Records and Results 全米大学体育協会 (PDF, 295 KB) 2015年10月24日閲覧
- ^ “American Youth Outdoor Track & Field Records”. 全米陸上競技連盟. 2015年10月24日閲覧。
- ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会「競技規則の主な修改正」『日本陸上競技連盟七十年史』、ベースボール・マガジン社、1995年9月4日発行、549頁。
- ^ “ルール&運営 ハードル・投擲競技基準”. 日本マスターズ陸上競技連合. 2015年10月24日閲覧。
- ^ “All results”. 2015年世界マスターズ選手権公式サイト (2015年8月21日). 2015年10月24日閲覧。
- ^ a b c IAAF World Championships London 2017 statistics handbook / WORLD AND CONTINENTAL RECORDS(P.477参照) 国際陸上競技連盟 (PDF, 31.34 MB) 2017年10月01日閲覧
- ^ a b c “城西大学陸上競技部 渡部佳朗選手が200mハードルで世界タイ記録樹立”. 城西大学 (2017年10月2日). 2017年10月6日閲覧。
- ^ オセアニア記録 オセアニア陸上競技連盟 (PDF, 233 KB) 2017年10月06日閲覧
- ^ a b IAAF World Championships London 2017 statistics handbook / WORLD AND CONTINENTAL RECORDS(P.490参照) 国際陸上競技連盟 (PDF, 31.34 MB) 2017年10月01日閲覧
- ^ “Progression of IAAF World Records - 2015 edition(126ページ参照)”. 国際陸上競技連盟 (2015年). 2015年10月24日閲覧。
- ^ “Andy Turner sets World 200mH Best in Manchester”. PACE Sports Management (2010年5月16日). 2015年10月24日閲覧。
- ^ “大室(大塚製薬)が200障害 アジア・日本タイ記録”. 徳島新聞 (2016年10月17日). 2017年10月6日閲覧。
関連項目
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