2009 WBC優勝国 日本 2大会連続2回目
第2回大会 金メダル(ティファニー 製 重さ236g) 2009 ワールド・ベースボール・クラシック (英語 : 2009 World Baseball Classic )は、野球 の世界一決定戦[1] [2] [3] ワールド・ベースボール・クラシック (WBC) の第2回大会で、2009年 3月5日 から3月23日 の間に開催された。この大会では日本代表 が決勝戦で、今大会5度目の対決となった韓国 を延長戦の末に破り、2大会連続2回目の優勝を決めた。
大会概要 主催 ワールド・ベースボースボール・クラシック・インク(WBCI) 日程 開催国・地域 出場国・地域 試合数 大会ルール 各国のプロリーグの開幕が迫っている状況を考慮し、選手達が可能な限り早く所属球団に戻ってシーズンの準備ができるように3位決定戦は行われない[4] 。
2006年大会からのルール変更点 2006年大会からの主な変更点は次のとおり[5] [6] 。
第1・第2ラウンドは総当たり方式リーグ戦 からダブルイリミネーション方式トーナメント戦 へと変更。これにより失点率等が考慮される事は完全に無くなった。 準決勝進出4ヶ国・地域はクロスオーバー方式の組み合わせに変更。これにより第2ラウンドで対戦した相手と準決勝で対戦することは無くなった。 投手の球数制限が見直された。第1ラウンドが70球(第1回大会では65球。以下同)、第2ラウンドが85球(80球)、準決勝と決勝では100球(95球)に緩和。 但し、その制限球数が対戦している選手の対戦途中であった場合は、その選手の対戦終了まで投球はできる。また3連投以上は原則禁止とし、1試合50球以上の場合は中4日以上、1試合30球以上、ないしは30球に満たなくても2連投であった場合は中1日以上の間隔を開けるようにすることとなった。この規定は第1回大会のものと同様である。 前回の第1・第2ラウンドは、延長14回で引き分けのルールであったが、今回からタイブレーク を導入。延長13回からとし、前の回の最後の打者とその前の打者を1・2塁に置き、無死1・2塁から打順を変えずにプレーを開始。決着がつくまで行う。 試合前日に予告先発 を行う。 ホームラン においてビデオ判定 を導入。 ベースコーチのヘルメット 着用が義務化。 開催地 WBC運営委員会が、2008年 3月24日に第1ラウンドの開催地・日程を発表[7] 。日本 、メキシコ 、カナダ 、プエルトリコ で開催。前回の2006年大会 に続いて、北米を中心とした共同開催となった。7月31日に第2ラウンド以降の開催地・日程を発表[8] 。全てアメリカ合衆国 で開催。今回の第2ラウンドはサンディエゴ とマイアミ で行い、初めてアメリカ東海岸でも試合を開催することになった。準決勝・決勝はロサンゼルス のドジャー・スタジアム で開催。
大会の進行 出場国・地域と日程 出場国は前回大会と同じ16ヶ国・地域。2007年に前回大会のベスト8に対して出場資格を与えることが決まった。2008年2月19日に残りの出場8ヶ国・地域を決定し、第1回大会と同じ顔ぶれで、出場国の全てが2大会連続2回目となる。
()内は日付。全て現地時間。 枠外は開催都市。枠内は出場国・地域。太字 は各組勝利国・地域。 第1ラウンド・第2ラウンドはダブルイリミネーション方式トーナメント戦 で試合を行う。 本ページの各種表記は以下に統一して表記する。 X次トーナメント・ラウンドX → 第Xラウンド セミファイナル・ファイナル → 準決勝・決勝 POOL X → X組
第1ラウンド 参加16ヶ国・地域を各グループ4ヶ国・地域の4グループに分け、それぞれ2009年 3月5日から12日までダブルイリミネーション方式トーナメント戦 を行い、上位2ヶ国が第2ラウンドへ進出する[9] 。
A組(東京ラウンド) B組(メキシコシティラウンド) C組(トロントラウンド) D組(サンフアンラウンド) 第2ラウンド A組とB組、C組とD組のそれぞれ上位2ヶ国・地域が同じ組となり、アメリカ・カリフォルニア州 サンディエゴ のペトコ・パーク とフロリダ州 マイアミ のドルフィン・スタジアム で3月14日から3月19日までの6日間にダブルイリミネーション方式トーナメント戦を行う。上位2ヶ国・地域が準決勝進出。
1組(サンディエゴラウンド) 日程 試合開始 先攻 スコア 後攻 回 会場 試合時間 観客動員 試合詳細 2009年3月15日 13:00 日本 6–0 キューバ ペトコ・パーク 3時間33分 20,179人 Boxscore 2009年3月15日 20:00 メキシコ 2–8 韓国 ペトコ・パーク 3時間43分 22,337人 Boxscore 2009年3月16日 20:00 キューバ 7–4 メキシコ ペトコ・パーク 3時間09分 9,329人 Boxscore 2009年3月17日 20:00 日本 1–4 韓国 ペトコ・パーク 3時間21分 15,332人 Boxscore 2009年3月18日 20:00 日本 5–0 キューバ ペトコ・パーク 3時間26分 9,774人 Boxscore 2009年3月19日 18:00 日本 6–2 韓国 ペトコ・パーク 3時間42分 14,832人 Boxscore
2組(マイアミラウンド) 準決勝・決勝 最終成績 チャンピオントロフィー(第1回大会のもの) 成績 国・地域 試合 勝数 敗数 勝率 得点 失点 001 優勝 1位 日本 9 7 2 .778 50 16 002 準優勝 2位 韓国 9 6 3 .667 53 30 003 ベスト4 3位 ベネズエラ 8 6 2 .750 45 36 4位 アメリカ合衆国 8 4 4 .500 50 54 004 ベスト8 5位 プエルトリコ 6 4 2 .667 31 10 6位 キューバ 6 4 2 .667 36 24 7位 オランダ 6 2 4 .333 10 23 8位 メキシコ 6 2 4 .333 47 52 005 第1ラウンド敗退 9位 ドミニカ共和国 3 1 2 .333 12 5 10位 イタリア 3 1 2 .333 7 19 11位 中国 3 1 2 .333 4 19 12位 オーストラリア 3 1 2 .333 22 28 13位 カナダ 2 0 2 .000 7 12 14位 チャイニーズタイペイ 2 0 2 .000 1 13 15位 パナマ 2 0 2 .000 0 16 16位 南アフリカ共和国 2 0 2 .000 4 22
成績右列は、IBAFによる順位[10] 。
表彰選手 個人表彰された以下の選手は、報道などの場においては2009年WBCベストナインと称される。
第2回大会の傾向と問題点 ビジネス面における第1回大会からの前進 第2回大会は観客数や視聴者数などで第1回大会を上回る結果を見せた。総観客動員は前回の73万7112人から80万1408人へ約6万人の増加を見せ、決勝は大会史上最多の5万4846人の観客を集めた。1試合平均の視聴者数も前回から14%増の161万6000人となった。不況の煽りを受けて不安が挙げられていた[11] スポンサーも26から56に増加した。 前進をみせた今大会であったが、集客力のある試合とそうでない試合の落差が大きいことが課題として残った。カナダで行われたトロントラウンドでは、カナダ対アメリカの試合には4万人を超す観衆が詰めかけた。しかし、その他の試合では約1万人程度の観衆であった。またバスケット全米大学選手権 やそもそもの国際大会への無関心の影響で、米国内の話題を広く集められなかった状態は第2回大会でも続いた。 それでも、セリグ・コミッショナーは観客数やスポンサー数の増加を受けて「今大会は大成功だった」「野球の魅力と国際的な発展を示した」とコメントした。[12] [13]
同一試合の多さ 第1ラウンドと第2ラウンドにそれぞれダブルイリミネーション方式トーナメント戦を採用し、第1ラウンド上位2ヶ国が第2ラウンドでも同じ組に入ったため、結果として同一戦が多くなってしまった。決勝戦に進出した日本と韓国は大会中に9試合しているが、9試合中5試合は日本対韓国であったため、「日韓シリーズ」と揶揄された。日本と韓国を第2ラウンドでも同じ組に配置した理由として、第1回のWBCにおいて平均観客動員数が4万人を越えた人気カードの設定などの興行的理由が指摘された。結果として、WBCへの関心が高い日本と韓国が5試合も日韓戦を行ったことは、両国を盛り上げることになったが、多様な対戦カードが見られにくいことの問題点も残った。
大会後の影響 アメリカ代表が準決勝で日本代表に敗れたことがアメリカで大きな問題となった。AP通信は「米国の国民的娯楽(野球)が大きな打撃を受けた」と報じ、大リーグ公式ホームページは「決勝に進んだチーム(日本と韓国)から、我々は学ぶべき」とアメリカ代表チームの体制の不備を指摘した[14] 。 優勝した日本では多数の日本国民がWBCに熱狂し、新聞の号外が出るなど大フィーバーとなった。また、日本戦のテレビ視聴率は全試合20%以上を記録した。スポンサーもセブン&アイ・ホールディングス や日本マクドナルド が優勝セールを行い、売れ行きも好調で日本マクドナルドは一日の売り上げ記録を更新した[15] 。宮本勝浩 は今回の優勝による経済効果を550億円の可能性もあると試算している[16] 。 優勝した日本代表が凱旋帰国した2009年 3月25日 から3月29日 には、期間限定で東京タワー が日本国旗をイメージした紅白色にライトアップされた(おめでとう!侍JAPAN!スペシャルダイヤモンドヴェール)[17] 。また、ニューヨーク のエンパイア・ステート・ビルディング も、日本の優勝を称えて、日本国旗の色の紅白にライトアップされた[18] 。 テレビ・ラジオ放送 日本国内での放送 決勝戦の視聴率 地区 平均 視聴率 瞬間最高 視聴率 関東 36.4% 45.6% 関西 36.5% 44.5% 名古屋 34.4% 43.6% 札幌 45.0% 52.3% 北部九州 40.6% 3/24(火)10:35-14:48 TBS系(ビデオリサーチ 調べ)
地上波テレビ放送では日本戦を全試合生中継、CS放送の「J SPORTS 」では全試合を完全生中継。
日本戦の東京ラウンドはテレビ朝日 、サンディエゴラウンドはTBS が放送。また組み合わせにかかわらず、準決勝と決勝はTBSが放送。そのうちTBSが放送に携わったサンディエゴラウンド、準決勝および決勝の試合は日本時間では早朝 もしくは午前中で行われたため、サンディエゴラウンドの日本戦(2度の日本対韓国戦以外)、準決勝(日本対アメリカ)、決勝の中継については生放送に加え、同日のゴールデン枠 の番組を差し替えた「WBC緊急特番」と題した2時間枠のダイジェスト版が同局で放送された。いずれも各放送局をキー局とする全国ネットでの放送となる。
テレビ朝日による中継ではSMAP の「弾丸ファイター 」、TBSによる中継では、ジャーニーの「Separate Ways」、「J SPORTS」による中継では、フジファブリック の「Sugar!! 」がテーマ曲として使用された。
またラジオでは、東京ラウンドの日本対中国戦はニッポン放送 、2試合目・3試合目はTBSラジオ が、サンディエゴラウンド以降の日本代表戦はニッポン放送が中継。JRN /NRN の全国ネットは行われず、製作局以外は数局のみでの放送となる。
第1ラウンド 第2ラウンド 決勝トーナメント 日本国外での放送 アメリカ合衆国 においては、ESPN とMLBネットワーク を通じ全試合が生中継で放送された。またESPNインターナショナルが167か国に配信した。
脚注 [脚注の使い方 ]
^ 朝日新聞社発行「知恵蔵」web版http://kotobank.jp/dictionary/chiezo/ ^ スポーツナビ WBCとは ^ 共同通信ニュース特集 ワールド・ベースボール・クラシック右欄「WBCとは」参照 ^ 鈴木健一 (2023年3月19日). “【野球】なぜ3位決定戦はないのか 侍Jが優勝を狙うWBC 主催者に聞いてみた”. デイリー . 2023年6月7日 閲覧。 ^ Barry M. Bloom (2008年3月23日). “Classic changes advancement rules Round-robin format will be replaced by double-elimination”. mlb.com. 2008年3月24日 閲覧。 ^ “Several rules changes adopted for 2009 World Baseball Classic”. MLB.com. 2009年3月17日 閲覧。 ^ “Four international venues to host first round of 2009 World Baseball Classic Rounds one and two to feature double-elimination format”. mlb.com (2008年3月23日). 2008年3月24日 閲覧。 ^ “Dodger Stadium to host Classic finals World to gather in LA for end of 2009 international tournament”. MLB.com. 2008年8月1日 閲覧。 ^ Barry M. Bloom (2008年3月23日). “Venues set for World Baseball Classic Japan, Mexico, Canada, Puerto Rico to host first round in '09”. mlb.com. 2008年3月24日 閲覧。 ^ “World Rankings ENG” (英語). International Baseball Federation . 2010年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月4日 閲覧。 ^ 米大手スポンサー続々撤退…WBC運営の軸はJマネー アサヒビールなどの協賛ZAKAK ^ WBC観客動員80万人超…前回より8・5%増スポーツ報知 ^ 日韓の歴史的決勝戦の感動と次回大会への課題 第2回WBC総括出村義和,スポーツナビ ^ サンケイスポーツ編集局『Gallop臨時増刊 侍世界一 日本WBC連覇』産業経済新聞社刊、2009年3月26日発行(26ページ)より要約 ^ WBC効果で売り上げ最高 日本マクドナルド共同通信 ^ WBC連覇の経済効果、ナント550億円!サンケイスポーツ ^ 東京タワー「紅白」で侍ジャパンV祝うスポニチ ^ エンパイアステートビルに日本国旗のライトアップ WBC優勝で産経ニュース 関連項目 外部リンク ウィキメディア・コモンズには、2009 ワールド・ベースボール・クラシック に関連するカテゴリがあります。
World Baseball Classic 2009(MLB公式サイト) ワールド・ベースボール・クラシック(NPB公式サイト) 2009 ワールド・ベースボール・クラシック
出場国・地域 開催球場 第1R A組 (東京) - B組 (メキシコシティ) - C組 (トロント) - D組 (サンフアン)
第2R 決勝R 2006・2009・2013・2017・2023