マツダ・CX-60
マツダ・CX-60 KH5P/KH3P/KH3R3P/KH5S3P | |
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フロント | |
リア | |
インテリア | |
概要 | |
製造国 | 日本 防府第2工場(山口県) |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアクロスオーバーSUV |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 後輪駆動(2WD車) 四輪駆動(4WD車) |
パワートレイン | |
エンジン | PY-VPS型: 2,488 cc 直4 直噴DOHC (SKYACTIV-G 2.5) T3-VPTS型: 3,283 cc 直6 直噴DOHCディーゼルターボ (SKYACTIV-D 3.3/e-SKYACTIV D) PY-VPH型: 2,488 cc 直4 直噴DOHC (e-SKYACTIV PHEV) |
モーター | MR型: 永久磁石式同期電動機 (e-SKYACTIV D) MS型: 永久磁石式同期電動機 (e-SKYACTIV PHEV) |
最高出力 | PY-VPS型: 138kW(188PS)/6,000rpm T3-VPTS型: 170kW(231PS)/4,000-4,200rpm 187kW(254PS)/3,750rpm PY-VPH型: 129kW(175PS)/5,500rpm |
最大トルク | PY-VPS型: 250N·m(25.5kgf·m)/3,000rpm T3-VPTS型: 500N·m(51.0kgf·m)/1,500-3,000rpm 550N·m(56.1kgf·m)/1,500-2,400rpm PY-VPH型: 250N·m(25.5kgf·m)/4,000rpm |
変速機 | トルコンレス 8速AT (8EC-AT) |
サスペンション | |
前 | ダブルウィッシュボーン |
後 | マルチリンク |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,870 mm |
全長 | 4,740 mm(国内仕様車) 4,745 mm |
全幅 | 1,890 mm |
全高 | 1,685 mm |
車両重量 | 1,680 - 2,072 kg |
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CX-60(シーエックス・シックスティー)は、マツダが製造・販売する高級クロスオーバーSUVである。
概要
マツダのラージ商品群の第1弾として位置づけられるクロスオーバーSUVで、2022年3月9日に欧州で世界初公開された[1]。縦置きエンジンのFR、及びマツダCUV初となるFRをベースにした四輪駆動システム「i-ACTIV AWD」を搭載し[注 1]、新開発の「SKYACTIV マルチリューションスケーラブルアーキテクチャー」プラットフォームを搭載している。さらに、マツダ初のプラグインハイブリッドシステムを搭載したモデルも設定されている[1]。
搭載されるエンジンは、2.5 L 直4 ガソリン直噴エンジンと3.3 L 直6 ディーゼルターボエンジンの2種で、それにプラグインハイブリッドシステム(e-SKYACTIV PHEV)または48 Vマイルドハイブリッドシステム(e-SKYACTIV D 3.3)が組み合わされる。
変速機は8速ATのみで、トルクコンバータの代わりに湿式多板クラッチが使用されており、駆動力の伝達効率やレスポンスの向上に貢献している。
i-ACTIV AWDで前後駆動力を制御する電子制御カップリング(ITCC)は、後輪駆動向け専用でジェイテクトが開発。変速機やエンジンの動力を伝達するリアプロペラシャフト間を直結する貫通構造を採用し、トランスファーの構造に合わせて小径化することで従来比約10 %の軽量化を達成した[2]。ステアリングコラムではジェイテクトと富士機工が連携し、事故が起きた際の衝撃を吸収する機構などの部品点数を削減することで、コラム全体の質量を従来品比で30 %低減している[2]。2022年のユーロNCAPでの衝突検査では最高評価となる五つ星を獲得している[3]。パナソニックオートモーティブシステムズ製のフルディスプレイメーターが採用されている[4]。FRベースかつディーゼル車の設定があるため、全受注台数のおよそ7割が4WD車であるという。全車、マツダ防府工場で生産される。2002年6月の生産開始時には月販目標台数は2,000台とされたが、2023年9月以降は生産台数が目標の半分以下の月販500-900台に留まっている[5]。
不具合
発売直後より不具合の報告が続いている。マツダは2023年6月の株主総会の事前質問でCX-60について『開発や造り込み、品質検証プロセスにおいて、不十分な点がございました。これらの点について、全社を挙げて分析を行い、迅速に改善措置を実施しております。 これを今後の生産車種に活かすことでお客様に安心・信頼頂けるように、品質の向上に取り組んでまいります。』と答え、株主および顧客に対して謝罪した[6]。国土交通省には、2024年1月までに15件のリコール・不具合情報が提出されている[7]。乗り心地が悪いという問題については、SKYACTIV-G 2.5搭載車とSKYACTIV-D 3.3搭載車の発売開始時期を1か月遅らせて一部部品に変更を加えたがそれでも十分ではなく、2023年8月以降のモデルではダンパーやスタビライザーの仕様が変更され、材質や構造を変更した変速機が搭載されている。また納車済みの顧客に対しても、乗り心地やドアの開閉音、リヤハッチの異音に対して申告制で対策済み部品との交換対応がなされている。2024年5月31日には合計8種類の不具合に対して一斉に制御プログラムの修正を行うサービスキャンペーンを国土交通省に通知した[8]。
車としての仕上げりについては、乗り心地に関する不満の声が多く、発売当初から多くのユーザー並びにジャーナリストからサスペンションの関するクレームが相次いだ[9]。このため遅れて発売されたXDや25Sでは、リヤスタビライザーの省略や一部樹脂ピロボールをゴムブッシュに変更するなどの対策が実施された。また2023年8月の料金改定後のモデルでは、リヤダンパーの減衰力の増化などの仕様変更が行うとともに、納入済みユーザーに対しても同様の変更を行うサービスが実施された[10]。それらの対策によって乗り心地は幾分か改善されたものの十分ではなく、依然としてこの車格の車両としては乗り味に安定感が感じられず、荒れた路面では相当に不快な印象を受けるとされる[9]。マツダは発売前の国内での試乗テストが不足していたためであり、決してハードな乗り心地を目指したわけではなく、乗っている搭乗者の快適性を高めるための試みであったと説明している[10]。
他にも、低速時のミッションはギクシャク感が強く、スムーズさの欠落も指摘されている[9]。また本来なら積極的なアピールポイントであるはずの直列6気筒ディーゼルは、非常に不快なエンジンノイズであり車内へそのエンジンノイズが容赦なく伝わるという声もあり改善が求められている[9]。
年表
- 2021年(令和3年)10月7日
- マツダは2022年(令和4年)以降のクロスオーバーSUVの商品計画を公表し、その一環としてCX-60を導入することを発表[11]。
- 2022年(令和4年)3月9日
- 欧州にて世界初公開し、現地での受注を開始[1][12]。
- 2022年(令和4年)3月15日
- 防府第2工場で欧州向けのPHEV仕様の生産を開始[13]。
- 2022年(令和4年)4月7日
- 日本仕様のe-SKYACTIV D搭載車を初公開。同年初秋の発売予定がアナウンスされた[14]。
- 2022年(令和4年)4月26日
- 欧州向けにPHEV仕様のCX-60の出荷を開始[15]。
- 2022年(令和4年)6月22日
- 日本での予約受注を同年6月24日より開始し、e-SKYACTIV D搭載車は同年9月、その他モデルは同年12月に販売開始予定と発表された[16]。
- グレード体系も明らかとなり、ガソリンエンジン仕様のSKYACTIV-G 2.5搭載車は「25S S Package」、「25S L Package」、「25S Exclusive Mode」の3種、ディーゼルエンジン仕様のSKYACTIV-D 3.3搭載車は「XD」、「XD S Package」、「XD L Package」、「XD Exclusive Mode」の4種、ディーゼルハイブリッド仕様のe-SKYACTIV D搭載車は「XD HYBRID Exclusive Sports」、「XD HYBRID Exclusive Modern」、「XD HYBRID Premium Sports」、「XD HYBRID Premium Modern」の4種、プラグインハイブリッド仕様のeーSKYACTIV PHEV搭載車は「PHEV S Package」、「PHEV Exclusive Sports」、「PHEV Exclusive Modern」、「PHEV Premium Sports」、「PHEV Premium Modern」の5種の全16種をラインナップした。
- 2022年(令和4年)9月15日
- 国内向けのe-SKYACTIV D搭載車の販売が開始される[17]。
- 2022年(令和4年)11月8日
- 本車種に採用されている「ドライバー・モニタリング」、「ドライバー異常時対応システム(DEA)」、「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」が評価され、2022-2023日本自動車殿堂 テクノロジーオブザイヤーに選定されたことを発表。マツダで同賞に選定されたのは2014-2015年度に受賞した「SKYACTIV-D 1.5」以来、8年ぶり通算4度目となり、エンジン以外の技術で選定されるのは今回が初となった[18]。
- 2022年(令和4年)11月24日
- e-SKYACTIV D搭載車以外のモデルについて、既に欧州向けに先行販売しているPHEVは予定通り2022年12月の販売開始とするものの、同時期に販売開始予定としていたSKYACTIV-G 2.5搭載車とSKYACTIV-D 3.3搭載車は「商品の作りこみ」のために販売開始時期を2023年1月以降に延期することを発表[19]。
- 2023年(令和5年)1月
- 発売が延期されていたSKYACTIV-D 3.3搭載車の販売が開始。少し遅れてSKYACTIV-G 2.5搭載車も販売開始となる。
- 2023年(令和5年)8月1日
- 原材料価格や物流費などの世界的な高騰を受けて日本仕様車の価格改定が実施され、グレードにより19.8万円 - 33万円(10 %の消費税込)値上げされた。併せて、グレードや装備体系の一部見直しも実施され、「PHEV S Package」が廃止された[20]。乗り心地に対するクレームに対応して、全車のリヤダンパーと、一部車種のリヤスタビライザーの仕様が変更された。また、トランスミッションで発生する始動直後の衝撃音などの異音対策として、内部の構造と素材が変更された。
評価
CX-60は他社の中級SUVのみならず、BMW X3、メルセデス・ベンツ・GLC、アウディ・Q5、レクサス・NXといった高級SUVともしばしば比較される。オーストラリアの「 CarExpert」は、CX-60はドイツ製SUVを目指した車であると認めながらも、そのサスペンションが固すぎて路面の凸凹に追従することが出来ていないと評した[21]。またイギリスのトップ・ギアは、CX-60が価格面でBMW X3に挑戦しているとし、PHEVを搭載したCX-60の効率性は称賛したものの、CX-60には細かい煮詰め作業が欠如していると批判した[22]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 『新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-60」を欧州で公開 「走る歓び」と優れた「環境・安全性能」を大幅に進化させたラージ商品群の第1弾』(プレスリリース)マツダ株式会社、2022年3月9日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202203/220309a.html。2022年3月31日閲覧。
- ^ a b “マツダ「CX-60」に搭載、新型「ITCC」「ステアリングコラム」が両立した二つの性能(ニュースイッチ(日刊工業新聞))”. LINE NEWS. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “欧州安全テストで最高評価 マツダCX-60、メルセデスEQEなどに5つ星(AUTOCAR JAPAN)”. LINE NEWS. 2022年10月14日閲覧。
- ^ “パナソニックのフルディスプレイメーター、マツダの「CX-60」に採用(マイナビニュース)”. LINE NEWS. 2022年10月14日閲覧。
- ^ 日本自動車販売協会連合会
- ^ マツダ 第159回株主総会 事前質問回答
- ^ 国土交通省 リコール・不具合情報(KH3で検索)2024年3月6日閲覧
- ^ CX-60のサービスキャンペーンについて (その1) マツダ リコール・サービスキャンペーン情報 2024年5月22日閲覧
- ^ a b c d 【マツダ CX-60 新型試乗】あえての辛口評価も、ポテンシャルあればこそ…中村孝仁 response 試乗記 2024年5月18日(土)
- ^ a b driver 2023年5月号(3月20日発売)八重洲出版
- ^ 『マツダ、2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画を発表』(プレスリリース)マツダ株式会社、2021年10月7日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2021/202110/211007a.html。2022年3月31日閲覧。
- ^ "All-new Mazda CX-60 PHEV UK pricing and specification announced" (Press release). Mazda UK. 8 March 2022. 2022年3月31日閲覧。
- ^ 『Production of the all-new Mazda CX-60 starts』(プレスリリース)Mazda UK、2022年4月20日。https://www.insidemazda.co.uk/2022/04/20/production-of-the-all-new-mazda-cx-60-starts。2022年4月24日閲覧。
- ^ 『新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-60」の日本仕様を初公開』(プレスリリース)マツダ株式会社、2022年4月7日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202204/220407a.html。2022年4月7日閲覧。
- ^ マツダ CX-60 生産開始…4月26日から欧州向け出荷 レスポンス 2022年4月21日(木)2024年3月6日閲覧
- ^ 『「MAZDA CX-60」の予約受注を開始』(プレスリリース)マツダ株式会社、2022年6月22日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202206/220622a.html。2022年6月23日閲覧。
- ^ 『「MAZDA CX-60」の販売を開始』(プレスリリース)マツダ株式会社、2022年9月15日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202209/220915a.html。2022年9月15日閲覧。
- ^ 『「MAZDA CX-60」のドライビングポジションサポートとドライバー緊急時対応の技術が「2022~2023 日本自動車殿堂 カーテクノロジーオブザイヤー」に選定』(プレスリリース)マツダ株式会社、2022年11月8日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202211/221108b.html。2022年11月8日閲覧。
- ^ 日本工業新聞 マツダ、SUV「CX-60」一部モデルの工場出荷時期を2023年1月以降に延期 「造り込みに時間」
- ^ 『「MAZDA CX-60」の価格改定について』(プレスリリース)マツダ株式会社、2023年8月1日。https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2023/202308/230801a.html。2023年8月3日閲覧。
- ^ Wong, James (17 July 2023). "2023 Mazda CX-60 review". CarExpert. Retrieved 27 July 2023.
- ^ Franklin, Andy (2023年6月14日). “Mazda CX-60 - long term review - Report No:5 2023” (英語). Top Gear. 2023年7月28日閲覧。
関連項目
外部リンク
- MAZDA CX-60|クロスオーバー SUV|マツダ
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