伊奈祐介

 伊奈祐介 七段
名前 伊奈祐介
生年月日 (1975-12-18) 1975年12月18日(48歳)
プロ入り年月日 1998年4月1日(22歳)
引退年月日 2024年5月10日(48歳)
棋士番号 228
出身地 神奈川県逗子市
所属 日本将棋連盟
(関東[-2006年度]
→関西[2007年度-])
師匠 小林健二九段
段位 七段
棋士DB 伊奈祐介
戦績
通算成績 353勝351敗(勝率0.501)
竜王戦最高クラス 03組 (通算3期)
順位戦最高クラス 0C級2組 (通算12期)
2024年5月10日現在
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伊奈 祐介(いな ゆうすけ、1975年12月18日 - )は、将棋棋士。小林健二九段門下。棋士番号は228。神奈川県逗子市出身。

棋歴

1998年4月、四段昇段(プロ入り)。奨励会三段リーグで次点(3位)2回となった者はフリークラスの四段になれるという規定が新設された後、その権利を行使した初のケースである[注 1]

第12期(1999年度)竜王戦6組で昇級者決定戦決勝に進むも、敗れて5組昇級を逃す。同年(1999年)、第18回(2000年度)全日本プロ将棋トーナメントで、米長邦雄深浦康市佐藤康光[注 2]らに勝ち、ベスト8進出。

第14期(2001年度)竜王戦6組ランキング戦では、4回戦で渡辺明に勝ち、2001年5月7日の準決勝戦では伊藤能に勝ち、この勝利に伴い「直近30戦以上で勝率6割5分以上」(20勝10敗)の基準を満たし、フリークラスから順位戦C級2組への昇級が決定[1]フリークラスから順位戦C級2組への昇格は史上初[2][注 3]。その後に行われた決勝戦でも松尾歩を破り6組で優勝し、決勝トーナメント出場及び5組昇級を決めた。決勝トーナメントでも2勝(5組優勝の北島忠雄戦及び3組優勝の富岡英作戦)を挙げる。同年度では、第51回NHK杯戦で本戦初出場し南芳一を相手に1勝を挙げるなど、他の棋戦でも活躍した。

第15期(2002年度)竜王戦5組で昇級者決定戦決勝に進むも、渡辺明に敗れる。第17期(2004年度)竜王戦5組でも昇級者決定戦決勝に進むが、またしても昇級を逃す。

第29期(2003年度)棋王戦で本戦初出場。2回戦で米長邦雄を破るが、3回戦で谷川浩司に敗れる。

第64期C級2組順位戦(2005年度)にて、8勝2敗で次点(4位)でC級1組昇級を逃す。このときC級1組へ昇級したのは、安用寺孝功(9勝1敗)、および、阿久津主税橋本崇載(伊奈と同じく8勝2敗)であった。最終の第10回戦で、もしも3名のうち1名でも負けていれば、伊奈が昇級していたところであった。

第20期(2007年度)竜王戦5組で優勝し、ついに4組昇級。決勝トーナメントでも1勝を挙げる。翌年度、第21期(2008年度)竜王戦4組で準優勝し、3組に昇級するとともに連続2回昇級により六段昇段。

第72期C級2組順位戦(2013年度)では最終節を残して7敗目を喫し、3期連続の降級点でフリークラスへの降級が決まってしまった。フリークラスで四段編入した棋士が順位戦経験後再びフリークラスになるのはこれが初めてである。2014年度の第56期王位戦では、予選決勝で豊島将之に勝利し、フリークラスでは3人目[注 4]となる挑戦者決定リーグ進出を決めた。しかし、リーグでは3連敗で陥落が決まった。

2024年3月31日、編入フリークラスの期限までの順位戦への昇級が叶わず、出場可能棋戦は進行中の王将戦と竜王戦(5組在籍)の2棋戦のみとなるが、第74期王将戦は予選3回戦で敗退となり、残る棋戦は竜王戦(5組)のみとなる。進行中の第37期竜王戦5組で1勝でも挙げれば残留となり最大2期まで在籍可能となるが、全敗し6組降級の場合は引退となる規定のところ、5組ランキング戦は既に1回戦で敗退しており、昇級者決定戦でも1回戦で敗退、最後の望みであった残留決定戦でも敗れたことで6組降級となり、2024年5月10日付での引退が決定した。

棋風

  • 居飛車党であり、相手も居飛車の場合は相掛かり矢倉を指すことが多い。
  • 終盤は粘りを見せる場合が多く、自玉が詰みになった状態まで指し続けた事がある[注 5]

人物

  • 妻は佃亜紀子(囲碁棋士)。妹は伊奈めぐみ(渡辺明の妻、元女流育成会員、詰将棋作家、漫画家)。
  • 目下・年下であっても尊敬できる人物には敬意を払う。義弟の渡辺明を「人生で最も影響を受けた棋士」と述べ、丁重に接している[3][4]
  • 棋士として東京所属だったが、2007年度から、関西本部に移籍[5]

昇段履歴

昇段規定については「将棋の段級」を参照
  • 1990年00月00日 : 6級で奨励会入会
  • 1994年04月00日 : 三段(第16回奨励会三段リーグ<1994年度後期>からリーグ参加)
  • 1998年04月01日 : 四段(第22回奨励会三段リーグ成績3位=次点2回) = プロ入り(フリークラス編入)
  • 2004年08月13日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝、通算100勝79敗[要出典][6]
  • 2008年05月22日 : 六段(竜王ランキング戦連続昇級、通算167勝135敗[要出典][7]
  • 2019年10月23日 : 七段(勝数規定 /六段昇段後公式戦150勝通算317勝300敗[要出典][8]
  • 2024年05月10日 : 引退(フリークラス棋士引退規定、通算353勝351敗)[注 6][9][10]

主な成績

在籍クラス

竜王戦順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[11]
(出典)竜王戦
出典[12]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
1998 57 F編 12 6組 -- 5-2
1999 58 F編 13 6組 -- 3-2
2000 59 F編 14 6組 2-1 5-0
2001 60 F編 15 5組 -- 3-2
2002 61 C240 5-5 16 5組 -- 1-2
2003 62 C224 6-4 17 5組 -- 5-2
2004 63 C219 6-4 18 5組 -- 2-2
2005 64 C217 8-2 19 5組 -- 1-2
2006 65 C204 4-6 20 5組 1-1 5-0
2007 66 C227 4-6 21 4組 -- 4-1
2008 67 C229 5-5 22 3組 -- 1-2
2009 68 C223 6-4 23 3組 -- 1-2
2010 69 C212 5-5 24 3組 -- 0-2
2011 70 C217x 3-7 25 4組 -- 1-2
2012 71 C236*x 1-9 26 4組 -- 1-2
2013 72 C242**x 3-7 27 4組 -- 0-3
2014 73 F編 28 5組 -- 3-2
2015 74 F編 29 5組 -- 2-2
2016 75 F編 30 5組 -- 1-2
2017 76 F編 31 5組 -- 3-2
2018 77 F編 32 5組 -- 1-2
2019 78 F編 33 5組 -- 2-2
2020 79 F編 34 5組 -- 1-2
2021 80 F編 35 5組 -- 1-2
2022 81 F編 36 5組 -- 1-2
2023 82 F編 37 5組 -- 0-3
2024 2024年3月末でフリークラス期限経過 6組降級により引退
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

公式棋戦成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
1998 19 9 10 0.4737 [13]
1999 28 15 13 0.5357 [14]
2000 25 17 8 0.6800 [15]
1998-2000
(小計)
72 41 31
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2001 32 17 15 0.5313 [16]
2002 28 13 15 0.4643 [17]
2003 33 18 15 0.5455 [18]
2004 35 20 15 0.5714 [19]
2005 34 22 12 0.6471 [20]
2006 34 18 16 0.5294 [21]
2007 31 15 16 0.4839 [22]
2008 36 21 15 0.5833 [23]
2009 28 14 14 0.5000 [24]
2010 30 15 15 0.5000 [25]
2001-2010
(小計)
323 163 160
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2011 28 10 18 0.3571 [26]
2012 28 11 17 0.3928 [27]
2013 27 10 17 0.3703 [28]
2014 28 15 13 0.5357 [29]
2015 28 15 13 0.5357 [30]
2016 26 14 12 0.5384 [31]
2017 21 11 10 0.5238 [32]
2018 23 7 16 0.3043 [33]
2019 25 15 10 0.6000 [34]
2020 20 9 11 0.4500 [35]
2011-2020
(小計)
254 117 137
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021 21 9 12 0.4285 [36]
2022 18 7 11 0.3888 [37]
2023 15 6 9 0.4000 [38]
2021-2023
(小計)
54 22 32
1998-2023
(塁計)
701 353 348 0.5035 [39]
2024 3 0 3 0.0000 [40]
通算成績 704 353 351 0.5014 [41]

脚注

注釈

  1. ^ 伊奈の後にも、伊藤真吾、吉田正和、渡辺大夢、佐々木大地、古賀悠聖が次点2回獲得に伴いフリークラスに編入する権利を得て、これを行使している。佐藤天彦は2004年に権利を得たが、放棄して三段リーグにとどまり、後に規定の成績を得て順位戦C級2組のプロ棋士としてデビューしている。
  2. ^ 佐藤は当時名人位を保持しており、伊奈の勝利により、順位戦出場歴がないフリークラスの棋士がタイトルホルダー(それも名人)に勝つという、史上初の記録が達成された。
  3. ^ 伊奈の他に三段リーグからフリークラスに編入した棋士は、伊藤真吾、吉田正和、渡辺大夢、佐々木大地、古賀悠聖が後に規定の成績を得て順位戦C級2組に昇格している。
  4. ^ 中原誠、吉田正和に次ぐ記録だが、C級2組から降級した棋士としては史上初。
  5. ^ 2015.6.15第87期棋聖戦・一次予選・千日手指し直し局ほか
  6. ^ 伊奈は2024年3月末を以ってフリークラス在籍年限を満了。同年5月の第37期竜王戦5組残留決定戦での敗退により6組降級が確定し引退。

出典

  1. ^ “日本将棋連盟からのお知らせ”. 2001年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2001年6月9日閲覧。 “伊奈祐介四段が5月7日の対局に勝ち、ここ30局の勝率が六割五分以上となり、2002年度より順位戦に参加できることになった。”
  2. ^ “吉田正和四段、フリークラスからC級2組へ昇級|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2024年7月30日閲覧。
  3. ^ 2005年度「将棋年鑑」
  4. ^ 2007年7月「将棋世界」
  5. ^ “伊奈祐介”. kishibetsu.com. 2024年7月30日閲覧。
  6. ^ “日本将棋連盟”. 2004年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月13日閲覧。
  7. ^ “伊奈祐介五段が六段に昇段(2008年5月22日付)|将棋ニュース|日本将棋連盟” (2008年5月22日). 2023年12月13日閲覧。
  8. ^ “伊奈祐介六段が七段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟” (2019年10月25日). 2023年12月13日閲覧。
  9. ^ 「伊奈祐介七段が引退|将棋ニュース」『日本将棋連盟』2024年5月14日。
  10. ^ 「通算成績(2024年5月10日対局分まで)|成績・ランキング」『日本将棋連盟』。2024年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  11. ^ “名人戦・順位戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  12. ^ “竜王戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  13. ^ [1][名無しリンク]
  14. ^ [2][名無しリンク]
  15. ^ [3][名無しリンク]
  16. ^ [4][名無しリンク]
  17. ^ [5][名無しリンク]
  18. ^ [6][名無しリンク]
  19. ^ [7][名無しリンク]
  20. ^ [8][名無しリンク]
  21. ^ [9][名無しリンク]
  22. ^ [10][名無しリンク]
  23. ^ [11][名無しリンク]
  24. ^ [12][名無しリンク]
  25. ^ [13][名無しリンク]
  26. ^ [14][名無しリンク]
  27. ^ [15][名無しリンク]
  28. ^ [16][名無しリンク]
  29. ^ [17][名無しリンク]
  30. ^ [18][名無しリンク]
  31. ^ [19][名無しリンク]
  32. ^ [20][名無しリンク]
  33. ^ [21][名無しリンク]
  34. ^ [22][名無しリンク]
  35. ^ [23][名無しリンク]
  36. ^ [24][名無しリンク]
  37. ^ [25][名無しリンク]
  38. ^ [26][名無しリンク]
  39. ^ [27][名無しリンク]
  40. ^ [28][名無しリンク]
  41. ^ [29][名無しリンク]

外部リンク

日本将棋連盟所属 引退棋士および退会者
1940年代
引退者
  • 永沢勝雄 (1946引退)
  • 金易二郎 (1947引退)
  • 渡辺東一 (1985引退)
  • 加藤治郎 (1949引退)
  • 奥野基芳 (1949引退)
1950年代
引退者
1960年代
引退者
1970年代
引退者
1980年代
引退者
1990年代
引退者
2000年代
引退者
2010年代
引退者
2020年代
引退者
退会者

引退棋士 全168名(日本将棋連盟所属、棋士番号割当者)、退会者2名。 詳細は将棋棋士一覧を参照
第37期竜王戦ランキング戦
竜王
1組
(定員16名)
2組
(定員16名)
3組
(定員16名)
4組
(定員32名)
5組
(定員32名)
6組
(参加70名)
女流棋士
アマチュア
  • 慶田義法アマ
  • 竹内広也アマ
  • 小林康太郎アマ
  • 中川慧梧アマ
  • (出場4名)
奨励会員
次期から出場
★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。
名人
A級
B級1組
B級2組
C級1組
C級2組
フリー
クラス
宣言
棋戦限定
出場

2024年度
引退者

  • 伊奈祐介(2024年05月10日 引退)
  • 青野照市(2024年06月13日 引退)
  • 室岡克彦(2024年06月18日 引退)
  • 中座真(2024年06月19日 引退)
先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点)
B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級)
詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照