大橋貴洸

 大橋貴洸 七段
平成30年11月、姫路市で行われた人間将棋にて
名前 大橋貴洸
生年月日 (1992-09-22) 1992年9月22日(31歳)
プロ入り年月日 2016年10月1日(24歳)
棋士番号 308
出身地 和歌山県新宮市
所属 日本将棋連盟(関西)
師匠 所司和晴七段
段位 七段
棋士DB 大橋貴洸
戦績
一般棋戦優勝回数 2回
2023年2月8日現在
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大橋 貴洸(おおはし たかひろ、1992年9月22日 - )は、将棋棋士。所司和晴七段門下。棋士番号は308[1]。関西本部所属[2][3]國學院高等学校卒業[4]

棋歴

プロ入りまで

和歌山県新宮市で生まれ、幼稚園入園前に東京に転居した。小学4年生の時に父と共に将棋を覚える[5]。八王子将棋クラブに通い、1年少々でアマ五段になり、研修会に入会[6][7]。研修会在籍中はアマ大会で活躍した[8][9]

2006年9月、中2のときに研修会A2から奨励会6級に編入。編入後4年で三段となった[5]。入会当初は関東奨励会所属であったが、三段リーグ4期目の2012年に関西奨励会に移籍[6]。この移籍について「高校卒業以降、勝ったり負けたりが続き、成績が上向くきっかけを模索していた。その中で何か掴めればいいなと思った」「関西で活躍する若手棋士も多く、それを肌で感じてみたい気持ちがあった」と2018年のインタビューで明かしている[5]。以降、棋士となった現在に至るまで関西に所属している。

三段リーグには第48回(2010年下期)から参加[10]、当初5期は指し分けもしくは負け越しが続いたものの、第53回(2013年上期)で10勝8敗と初の勝ち越し。第54回(2013年下期)では、星野良生宮本広志梶浦宏孝と並ぶ13勝5敗の好成績を挙げ、順位の差で昇段は逃すも次点(1回目)となる[11]。順位1位で臨んだ第55回(2014年上期)は最終日まで昇段の目があったが、17-18回戦を連敗し11勝7敗で終わる[12]

2015年、関西奨励会トーナメントで準優勝[13]。同年の第46期新人王戦で決勝三番勝負に進出し(対菅井竜也)に進出し、奨励会三段として2人目の優勝及び次点獲得(2回目の次点獲得により、フリークラスでの四段昇段の権利を得る)が懸かっていたが、先勝するも2連敗し準優勝に終わる[14]

第58回三段リーグ(2015年下期)では14勝4敗の都成竜馬が成績1位となり、12勝6敗で井出隼平・佐々木大地・大橋と石川優太の4人が並んだが、順位の差により井出が成績2位で昇段、成績3位の佐々木が2回目の次点獲得により四段昇段(フリークラス編入)[15]、大橋は成績4位だった。

二度目の順位1位で臨んだ第59回三段リーグ(2016年上期)は、藤井聡太が13勝5敗、大橋を含めて5名が12勝6敗で並ぶ混戦となったが、順位1位の大橋が成績2位で四段昇段を決めた[1][16]

プロ入り後

2016年10月1日付で四段昇段。同期昇段は藤井聡太

第68回(2018年度)NHK杯戦予選で牧野光則平藤眞吾都成竜馬に勝ち本戦へ初出場。本戦でも1回戦で順位戦A級の三浦弘行に勝利。2回戦で同じく順位戦A級の豊島将之に敗れた。

第31期竜王戦(2018年度)6組ランキング戦・準決勝で上村亘に勝ち、5組昇級を決めた。(決勝で都成竜馬に敗れ、本戦出場には至らなかった。)

2018年8月19日、第3回YAMADAチャレンジ杯で、黒沢怜生(準決勝)と近藤誠也(決勝)に勝ち、初の棋戦優勝をした。

2018年10月20日、第8期加古川青流戦でも梶浦宏孝に決勝で勝ち、優勝を決めた。

2019年7月31日、第61期王位戦予選で安用寺孝功に勝ち、五段に昇段[17]

2019年10月23日、第32期竜王ランキング戦5組昇級者決定戦(対阿部光瑠六段)に勝ち、4組昇級とともに六段に昇段(竜王ランキング戦連続2回昇級による)。

2021年3月5日、第79期順位戦C級2組で佐藤慎一五段に勝ち、8勝2敗の成績でC級1組への昇級を決めた[18]

2021年4月1日、耀龍四間飛車により第48回(2020年度)将棋大賞の升田幸三賞を受賞した[19]

2022年3月8日、第80期順位戦C級1組で宮本広志五段に勝ち、9勝1敗の成績でB級2組への昇級を前期に続き2期連続で決めた[20]

第70期王座戦挑戦者決定トーナメントでは1回戦で藤井聡太に勝利すると、千田翔太・石井健太郎にも勝ち自身初の挑戦者決定戦に駒を進めた。しかし豊島将之に敗れタイトル挑戦には届かなかった[21]

2023年2月8日、第81期順位戦のB級2組9回戦で中川大輔に勝利し、最終局を待たずしてB級1組昇級を決め、七段に昇段した[22]

棋風

  • 居飛車寄りのオールラウンド・プレイヤー。得意戦法は横歩取り[1]
  • 序盤戦法において独創的な研究手を用いることが多く、接頭に「耀龍(ようりゅう)」とつけた戦法名で研究成果を書籍でも出版している(「耀龍」は大橋の造語で、「あらゆる駒を耀かせ、龍の舞を披露し勝利へ導く」を意味している[23])。耀龍を冠する戦法として、7八に銀を上げるひねり飛車である「耀龍ひねり飛車」[24]と、片美濃囲いではなく、玉を3八にして右金を上げる四間飛車を「耀龍四間飛車」がある[25]。後者は第48回将棋大賞(2020年度)の升田幸三賞を受賞している[19]

人物

  • プロ入り前の奨励会員時代から、対局時に着るスーツにこだわりを持つ。奨励会三段であった2016年2月時点の報道では、グリーンのスーツが「勝負服」であった[7]。「高校を卒業して制服を着なくなった時期で『勝負服』という意味合いでスーツを着用しようと思った」と語っている[26]
  • 2016年10月にプロ入りしてからは、対局時の独特のスーツが話題を呼んでいる[27]
  • 目立つ出で立ちに反し、非常におとなしい性格[28]。字が上手で「青の絆」など、他棋士と異なる独特の揮毫をする[29]
  • 2021年12月18日、オリジナルチョコレート"TAKAHIRO OHASHI CHOCOLATE"を期間限定発売した[26][30]
  • 國學院高等学校の先輩である佐藤康光よりABEMAトーナメント2023年大会(第6回)ドラフト指名された[4][31]

昇段履歴

  • 2010年07月00日 : 三段(第48回奨励会三段リーグから参加)
  • 2016年10月01日 : 四段(第59回奨励会三段リーグ成績2位) = プロ入り
  • 2019年07月31日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝
  • 2019年10月23日 : 六段(竜王ランキング戦連続昇級)
  • 2023年02月08日 : 七段(順位戦B級1組昇級)

主な成績

棋戦優勝

将棋大賞

  • 第46回(2018年度) 新人賞[32]
  • 第48回(2020年度) 升田幸三賞[19]

在籍クラス

竜王戦と順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[33]
(出典)竜王戦
出典[34]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
2016 75 四段昇段前 30 6組 -- 5-2
2017 76 C246 8-2 31 6組 -- 5-1
2018 77 C204 7-3 32 5組 -- 5-1
2019 78 C210 8-2 33 4組 -- 2-2
2020 79 C205 8-2 34 4組 -- 2-2
2021 80 C131 9-1 35 4組 0-1 5-0
2022 81 B220 9-1 36 3組 -- 3-2
2023 82 B111 7-5 37 3組 -- 0-2
2024 83 B106 38 4組 --
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

公式棋戦成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2016 6 2 4 0.3333 [35]
2017 58 46 12 0.7931 [36]
2018 53 37 16 0.6981 [37]
2019 52 38 14 0.7307 [38]
2020 39 27 12 0.6923 [39]
2016-2020
(小計)
208 150 58
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021 34 22 12 0.6470 [40]
2022 42 30 12 0.7142 [41]
2023 30 16 14 0.5333 [42]
2021-2023
(小計)
106 68 38
通算 314 218 96 0.6942 [43]
2023年度まで

著書

  • 大橋貴洸の新研究 耀龍ひねり飛車(2019年4月23日、マイナビ出版 ISBN 978-4839969486)
  • 耀龍四間飛車 美濃囲いから王様を一路ずらしてみたらビックリするほど勝てる陣形ができた(2020年4月22日、マイナビ出版 ISBN 978-4839973346)

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c “新四段誕生のお知らせ *藤井聡太(史上最年少四段)・大橋貴洸|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2016年9月3日). 2017年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月14日閲覧。
  2. ^ “関西本部所属棋士”. 関西将棋会館. 2018年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月18日閲覧。
  3. ^ 「プロ棋士カラー名鑑 2018」(扶桑社)。
  4. ^ a b ABEMA TIMES編集部. “佐藤康光九段「後輩から刺激をもらおうと」優勝経験者の高見泰地七段&後輩・大橋貴洸七段の獲得にニンマリ笑顔/将棋・ABEMAトーナメント | ニュース | ABEMA TIMES | アベマタイムズ”. ABEMA TIMES. 2023年4月7日閲覧。
  5. ^ a b c “INTERVIEW 大橋貴洸四段「トレードマークは勝負服」将棋世界2019年1月号より #将棋情報局”. book.mynavi.jp. 2023年4月7日閲覧。
  6. ^ a b 将棋世界 2015年12月号 第46期 新人王戦決勝三番勝負 第1局 110P-116P
  7. ^ a b “盤上の風景:/15 将棋 大橋貴洸三段 緑の勝負服でプロ目指す /和歌山” (日本語). 毎日新聞. (2016年2月8日). オリジナルの2018年5月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180517145056/https://mainichi.jp/articles/20160208/ddl/k30/040/285000c 2018年5月17日閲覧。 
  8. ^ 第30回デイリースポーツ杯争奪青少年将棋大会日本将棋連盟 関西総本部 2005年5月3日
  9. ^ 第8回中学生将棋王将戦日本将棋連盟 関西総本部 2005年8月14日
  10. ^ 第48回奨励会三段リーグ戦日本将棋連盟
  11. ^ 第54回奨励会三段リーグ戦日本将棋連盟
  12. ^ 第55回奨励会三段リーグ戦日本将棋連盟
  13. ^ (株)KeYコーポレーション杯 奨励会トーナメント日本将棋連盟 関西総本部 2015年4月
  14. ^ 第46期新人王戦日本将棋連盟
  15. ^ 第58回奨励会三段リーグ戦日本将棋連盟
  16. ^ 第59回奨励会三段リーグ戦日本将棋連盟
  17. ^ “大橋貴洸四段が五段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2019年8月1日). 2019年8月1日閲覧。
  18. ^ “大橋貴洸六段VS佐藤慎一五段 第79期順位戦C級2組 大橋六段の勝利|棋戦トピックス|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2021年3月5日閲覧。
  19. ^ a b c “第48回将棋大賞受賞者のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2021年4月1日閲覧。
  20. ^ “及川拓馬七段に続き大橋貴洸六段と飯島栄治八段がB級2組へ昇級 第80期順位戦C級1組|棋戦トピックス|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2022年3月11日閲覧。
  21. ^ “将棋・永瀬王座に挑戦は豊島将之九段 大橋貴洸六段との関西対決制す”. 朝日新聞デジタル. (2022年7月25日). https://www.asahi.com/articles/ASQ7T72C4Q7TPCVL00D.html?iref=ogimage_rek 2022年8月10日閲覧。 
  22. ^ “大橋貴洸六段が七段に昇段”. 日本将棋連盟 (2023年2月9日). 2023年2月9日閲覧。
  23. ^ 大橋貴洸の新研究 耀龍ひねり飛車【棋譜データ付き】 - 将棋情報局(マイナビ出版)
  24. ^ 『耀龍ひねり飛車』(マイナビ出版、大橋貴洸)
  25. ^ 『耀龍四間飛車』(マイナビ出版、大橋貴洸)
  26. ^ a b “藤井聡太キラー・大橋貴洸。強さの秘訣は「戦略眼」と「スーツ」にあり | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい”. shueisha.online. 2023年4月7日閲覧。
  27. ^ “藤井四段に完勝で2勝目!同期・大橋貴洸四段「対局が偶然多いので…」” (日本語). スポーツ報知. (2018年1月6日). オリジナルの2018年5月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180517145618/http://www.hochi.co.jp/topics/20180106-OHT1T50260.html 2018年5月17日閲覧。 
  28. ^ 「プロ棋士完全名鑑2018」(コスミック社)
  29. ^ “棋士も驚く近距離の熱戦、女性ファン続々 団体戦詳報” (日本語). 朝日新聞. (2018年4月2日). オリジナルの2018年5月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180505112909/https://www.asahi.com/articles/ASL3Z5S9BL3ZPTFC019.html 2018年5月5日閲覧。 
  30. ^ “大橋貴洸Twitter 2021年12月10日”. Twitter. 2023年4月7日閲覧。
  31. ^ “チーム康光Twitter 2023年4月4日”. Twitter. 2023年4月7日閲覧。
  32. ^ “最優秀棋士賞に豊島将之二冠、第46回将棋大賞決まる|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2019年4月1日). 2019年8月1日閲覧。
  33. ^ “名人戦・順位戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  34. ^ “竜王戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  35. ^ [1][名無しリンク]
  36. ^ [2][名無しリンク]
  37. ^ [3][名無しリンク]
  38. ^ [4][名無しリンク]
  39. ^ [5][名無しリンク]
  40. ^ [6][名無しリンク]
  41. ^ [7][名無しリンク]
  42. ^ [8][名無しリンク]
  43. ^ [9][名無しリンク]

関連項目

外部リンク

  • 大橋貴洸|棋士データベース|日本将棋連盟
  • 大橋 貴洸@Professional Shogi Player (@oohashishogi) - X(旧Twitter)
  • 大橋 貴洸 (@_takahiro_ohashi_) - Instagram
  • チームエントリー (@abT00_entry) - X(旧Twitter)
  • チーム豊島 (@abT_toyoshima) - X(旧Twitter)
日本将棋連盟所属棋士 (現役棋士 および 2024年度引退棋士)
タイトル
保持者
【九段 6名】
【七段 1名】

永世称号 襲位者0
永世称号 有資格者

九段
【26名】
八段
【33名】
七段
【44名】
六段
【27名】
五段
【20名】
四段
【15名】
2024年度
引退棋士
 九段  青野照市(2024年6月13日引退)
 八段  室岡克彦(2024年6月18日引退)
 八段  中座真(2024年6月19日引退)
 七段  伊奈祐介(2024年5月10日引退)
現役棋士 全172名(2024年7月23日時点、日本将棋連盟所属) / は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照
第37期竜王戦ランキング戦
竜王
1組
(定員16名)
2組
(定員16名)
3組
(定員16名)
4組
(定員32名)
5組
(定員32名)
6組
(参加70名)
女流棋士
アマチュア
  • 慶田義法アマ
  • 竹内広也アマ
  • 小林康太郎アマ
  • 中川慧梧アマ
  • (出場4名)
奨励会員
次期から出場
★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。
名人
A級
B級1組
B級2組
C級1組
C級2組
フリー
クラス
宣言
棋戦限定
出場

2024年度
引退者

先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点)
B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級)
詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照
 
一般棋戦優勝 2回
2010年代
関連項目
タイトル戦経験者は除く五段以下でプロ入り15年以下の棋士などが参加。第2回まで棋戦名は「上州YAMADAチャレンジ杯」
加古川青流戦 優勝 1回
2010年代
2020年代
関連項目
四段の棋士・三段リーグ上位者・女流棋士・アマチュアが参加。
 
将棋大賞
新人賞 受賞 1回
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
前年度の活躍が対象
升田幸三賞 受賞 1回
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
前年度の活躍が対象。< >は特別賞。
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