黒田尭之

 黒田尭之 五段
名前 黒田尭之
生年月日 (1996-09-26) 1996年9月26日(27歳)
プロ入り年月日 2019年4月1日(22歳)
棋士番号 318
出身地 愛媛県松山市
所属 日本将棋連盟(関西)
師匠 畠山鎮八段
段位 五段
棋士DB 黒田尭之
2021年2月5日現在
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黒田 尭之(くろだ たかゆき、1996年9月26日 - )は、日本将棋連盟所属の将棋棋士[1]畠山鎮八段門下。棋士番号は318。愛媛県松山市出身。

棋歴

6歳の時に父から教わったことをきっかけに将棋を始めた。松山市の将棋道場「松山将棋センター」に通い、イベントで松山に来た畠山鎮に弟子入り(兄弟子に斎藤慎太郎)。小学6年で奨励会に入会し、2008年の第33回小学生将棋名人戦で準優勝(準決勝では増田康宏に勝利)[2]、第7回全国小学生倉敷王将戦で優勝[3]

2013年4月、三段リーグ入り。松山市の新田高等学校を卒業後、愛媛大学に進学したが、中退し将棋に専念した[4]。第58回三段リーグでは、最終局を2連勝すれば結果的に昇段していたが、2局目で佐々木大地に敗れ、11勝7敗の7位に終わる(佐々木はこの勝利で3位となり、2回目の次点を獲得して、フリークラスでのプロ入りを果たしている)。藤井聡太大橋貴洸が四段昇段を果たした第59回三段リーグでは、12勝6敗で3位(次点)だった。第63回三段リーグでは、昇段争いのライバル3名(山本博志と他2名)が全敗した上で自身が2連勝すれば昇段という状態となり、最終的に2連勝したもののライバル3名が何れも全敗はしなかったため、12勝6敗の5位に終わる(山本は当期2位で四段に昇段している)。

そして2018年度の後期、第64回三段リーグにて13勝5敗の成績を収め2位となり、参戦12期目にして四段昇段を決めた(同時昇段は出口若武[5]。愛媛県出身の棋士の誕生は森信雄以来、43年ぶりだった[6]

プロ入り後

2019年9月、11月25日に行われる折田翔吾アマの棋士編入試験五番勝負第1局の対局者になることが発表された(黒田と折田は三段リーグ在籍時に対局し、2013年度後期[7]・2014年度後期[8]は折田が勝利、折田にとって最後の三段リーグとなった2015年度後期[9]は黒田が勝利している)。「複雑な気持ちはありますが、試験官になる以上は全力で指すつもりです」と心境を語り[10]、意表を突く初手▲1六歩の端歩突きからの四間飛車を採用したが、中盤からペースを握られ98手で敗れた[11]

2020年度の第79期順位戦C級2組では初戦から8連勝を記録。2021年2月4日、自身の対局日ではなかったものの、昇級を争う佐々木大地が敗れたことで最終局を残して3位以上が確定(順位戦デビューとなった前期にて、7勝3敗の成績で13位となっていた事が大きく、佐々木と大橋貴洸を除いた昇級争いのライバル達の順位を上回っていた)。順位戦参加2期目にしてC級1組への昇級を決めると共に、規定により五段へと昇段した(最終的な成績は9勝1敗の1位)。

2021年度、第29期銀河戦にて本戦ブロックを5連勝(=最多勝)で突破し、決勝トーナメントに初進出した(1回戦で、当期優勝者となる菅井竜也に敗戦)。

2022年度、第93期棋聖戦にて一次予選からの6連勝で、初の本戦入りを果たす。しかし、本戦では1回戦で三浦弘行に敗れた(本戦入りにより、次期棋聖戦の二次予選シード権は獲得した)。

棋風

居飛車振り飛車を指しこなすオールラウンダー[12]。将棋ソフトの評価値について、「序盤は何を指しても良い勝負になると考えていて、評価値で言うと例えば−200だとか−300だとか、そんな数字なら人間同士ならなんとでもなると思っている」「評価値を自分の考え方で理解できるかどうかが大事。自分の感覚を重視した方がいい」と語っている[13]

2020年2月に順位戦C級2組の井出隼平戦で右銀急戦を採用して快勝したことをきっかけに出版の依頼が舞い込み、同年12月に初の著書『黒田尭之の新研究 よみがえる右銀急戦』を出版した[14]

人物

  • 松山市在住のため、奨励会入会以降、対局のたびに夜行フェリーで大阪の関西将棋会館に通い続けた(バスで2時間かけて港へ行き、夜10時出航の船で1泊し翌朝6時に大阪港に。さらに電車で40分かけて将棋会館へ)[15]。級位者時代に海が荒れ船が出なかったことが一度だけあり、その時は休んでいる[16]。棋士になってからは飛行機で前日入りすることが多くなったが[17]、「地元のつながりを大切に、地元の人たちに応援される棋士になりたい」という思いから松山市在住にこだわるつもりだという[4]
  • 将棋倶楽部24でよく対局し、奨励会時代は毎月300局以上指していた[18]。トータルの対局数については「アカウントが複数あるので正確な対局数は分かりませんが、数万局単位なのは間違いないです」と答えている[19]。最高レーティングは3131(2019年9月時点)[20]
  • 同じ松山市出身の女流棋士・山根ことみは小学校時代からの知り合いで、高校も同じである(山根が1年下)。正月に山根が帰省した際に1日で20局ほど対局し、黒田にとっては普通の局数だったが、山根からは「24のやりすぎで感覚が麻痺してる」と言われた[21]
  • 憧れの棋士は、同じ松山市出身の土居市太郎[22]
  • 兄弟子の斎藤慎太郎については「将棋の面でも人柄の面でも、すべてにおいて憧れの兄弟子という感じです。いつか公式戦で当たるのを目標にしています」と語っており[23]、2020年10月30日に第62期王位戦予選で初対局が実現した(斎藤が勝利)。
  • 書道が苦手で、色紙などには個性的な字で揮毫している[24][25]。「ちょっと個性が強すぎるので、練習しないと」と答えている[26]
  • 父の影響で物心がついた時からビートルズを聴き、好きな曲として『Across the Universe』『Dear Prudence』を挙げている。伊坂幸太郎の小説『透明ポーラーベア』を読んでいる時に『Dear Prudence』が出てきて感動し、それから伊坂幸太郎の作品をすべてチェックしている[27]
  • 2020年末、将棋系VTuberの菜々河(ななかわ)れいの動画にコラボ出演(菜々河のオリジナル戦法「菜々河流向かい飛車」を黒田に迎え撃ってもらい講評してもらうという内容)。「確かにこの作戦も考えられる」「指したいですね」と語り、2021年9月28日の第15回朝日杯将棋オープン戦一次予選決勝・千葉幸生戦で実際に菜々河流向かい飛車を採用したが敗れた。『将棋世界』2023年1月号の付録で菜々河流向かい飛車を紹介している[28]

昇段履歴

昇段規定は、将棋の段級 を参照。

  • 2008年09月00日 : 6級 = 奨励会入会
  • 2012年12月00日 : 三段(第53回奨励会三段リーグ戦<2013年度前期>から三段リーグ参加)
  • 2019年04月01日 : 四段(第64回奨励会三段リーグ戦成績2位) = プロ入り
  • 2021年02月04日 : 五段(順位戦C級1組昇級、通算38勝25敗)[29]

主な成績

在籍クラス

竜王戦順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[30]
(出典)竜王戦
出典[31]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
2016 四段昇段前 30 6組三段 -- 0-1
2017 四段昇段前 31 四段昇段前
2018 四段昇段前 32 四段昇段前
2019 78 C252 7-3 33 6組 -- 4-2
2020 79 C213 9-1 34 6組 -- 0-2
2021 80 C129 7-3 35 6組 -- 2-2
2022 81 C108 7-3 36 6組 -- 1-2
2023 82 C102 6-4 37 6組 --
2024 83 C109 38
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

公式棋戦成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2019 30 14 16 0.4666 [1]
2020 39 28 11 0.7179 [2]
2019-2020
(小計)
69 42 27
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021 44 27 17 0.6136 [3]
2022 39 22 17 0.5641 [4]
2023 32 18 14 0.5625 [5]
2021-2023
(小計)
115 67 48
通算 184 109 75 0.5923 [6]
2023年度まで

著書

  • 黒田尭之の新研究 よみがえる右銀急戦(2020年12月23日、マイナビ出版 ISBN 978-4839975289)
  • 黒田尭之の横歩取り研究―15のテーマとその結論(2022年3月23日、マイナビ出版 ISBN 978-4839979683)

脚注

  1. ^ “新四段誕生のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟. (2019年3月3日). https://www.shogi.or.jp/news/2019/03/post_1772.html 2019年4月2日閲覧。 
  2. ^ 第33回小学生将棋名人戦
  3. ^ 第7回全国小学生倉敷王将戦
  4. ^ a b 松山から99年ぶりプロ棋士誕生 黒田尭之さん「棋戦優勝を目指したい」
  5. ^ 第64回奨励会三段リーグ戦
  6. ^ 新四段決定 プロ棋士デビューが決まった二人と藤井聡太七段の「縁」とは?
  7. ^ 第54回奨励会三段リーグ戦
  8. ^ 第56回奨励会三段リーグ戦
  9. ^ 第58回奨励会三段リーグ戦
  10. ^ 西遊棋実行委員会
  11. ^ 折田翔吾アマ、黒田尭之四段に勝利!夢のプロ入りへあと2勝/将棋・棋士編入試験
  12. ^ 黒田尭之の新研究 よみがえる右銀急戦
  13. ^ YouTube · 菜々河れい
  14. ^ 「右銀急戦」再興の解説 将棋プロ黒田尭之四段(松山)
  15. ^ 将棋 C級2組 5回戦 黒田が混戦制す 持ち味生かし白星先行に
  16. ^ 「栃木にはこんな戦法はない!」地方出身の棋士が全国大会でビックリしたこと「県でひとりだけ棋士・女流棋士」座談会 #1
  17. ^ 西遊棋実行委員会
  18. ^ 西遊棋実行委員会
  19. ^ 西遊棋実行委員会
  20. ^ 西遊棋実行委員会
  21. ^ 西遊棋実行委員会
  22. ^ 西遊棋実行委員会
  23. ^ 県にひとりだけしかいない棋士・女流棋士は、どうやって師匠を見つけたのか「県でひとりだけ棋士・女流棋士」座談会 #2
  24. ^ 色紙
  25. ^ 山根ことみ Twitter
  26. ^ 西遊棋実行委員会
  27. ^ 黒田尭之の持久戦で戦う金無双急戦
  28. ^ 4手目の革新! 自ら動ける新感覚戦法「菜々河流向かい飛車」黒田尭之五段(将棋世界2023年1月号付録)
  29. ^ “黒田尭之四段が五段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2021年2月5日閲覧。
  30. ^ “名人戦・順位戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  31. ^ “竜王戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • 黒田尭之|棋士データベース|日本将棋連盟
  • Takayuki Kuroda (@kurodapro) - X(旧Twitter)
日本将棋連盟所属棋士 (現役棋士 および 2024年度引退棋士)
タイトル
保持者
【九段 6名】
【七段 1名】

永世称号 襲位者0
永世称号 有資格者

九段
【26名】
八段
【33名】
七段
【44名】
六段
【27名】
五段
【20名】
四段
【15名】
2024年度
引退棋士
 九段  青野照市(2024年6月13日引退)
 八段  室岡克彦(2024年6月18日引退)
 八段  中座真(2024年6月19日引退)
 七段  伊奈祐介(2024年5月10日引退)
現役棋士 全172名(2024年7月23日時点、日本将棋連盟所属) / は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照
第37期竜王戦ランキング戦
竜王
1組
(定員16名)
2組
(定員16名)
3組
(定員16名)
4組
(定員32名)
5組
(定員32名)
6組
(参加70名)
女流棋士
アマチュア
  • 慶田義法アマ
  • 竹内広也アマ
  • 小林康太郎アマ
  • 中川慧梧アマ
  • (出場4名)
奨励会員
次期から出場
★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。
名人
A級
B級1組
B級2組
C級1組
C級2組
フリー
クラス
宣言
棋戦限定
出場

2024年度
引退者

先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点)
B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級)
詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照